宮司のブログ

こんにちは。日吉神社の宮司を務める三輪隆裕です。今回、ホームページのリニューアルに伴い、私のページを新設してもらうことになりました。若い頃から、各所に原稿を発表したり、講演を行ったりしていますので、コンテンツは沢山あります。その中から、面白そうなものを少しずつ発表していこうと思います。ご意見などございましたら、ご遠慮なくお寄せください。

グローバル化と人類の未来

2024年5月8日   投稿者:宮司

 20世紀、反近代の動きが時代の荒波を招いたが、近代化の動きが収まらなかったように、21世紀、反グローバルの波がいかに激しくとも、結局グローバル化の動きは収まらないと思われる。

 それでは、グローバル化の究極ともいうべき社会はどのような姿をとるのであろうか?

 おそらく、22世紀の入り口あたりでその様子が現れてくると考えられるが、ここでは、現在の最先端の動きからその姿を予測してみたい。

 21世紀末、時代の動きはますます加速し、技術革新と社会の変化もますます激しくなるであろう。これまで人類の社会が加速度的な変化を受け入れ変容してきたことを考えれば、十分に納得できる姿だ。

 もちろん、核戦争や気候変動やその他の原因で、人類が突然滅びてしまう可能性は常に存在する。それらを乗り越えて22世紀まで人類が存続するという仮定で考えてみる。

 21世紀末には、人類は本格的な人口減少社会を迎えている。SDGsの目標はほぼ達成され、全ての人々が多様性と人権を認め合う民主的で自由な社会で暮らしてる。環境問題は全て解決している。発展途上国の一部の地域には、手付かずの自然が残され、人々のリゾート地となっている。各国政府は存在するが、地球連邦のような世界規模の共同政府が成立し、世界規模の問題の解決が恒常的に話し合われ、問題の解決が図られている。軍備は共同管理され、内乱や戦争の鎮圧に使用されている。

 貧困は解消し、戦争や内乱もなく、人々は平和な暮らしを営んでいる。 

このような暮らしを支えるエネルギー源は何か?おそらく、21世紀初頭に新エネルギー源として注目され出した自然由来のホワイト水素であろう。石化燃料の発掘地に近い場所にほぼ無尽蔵に眠っているホワイト水素を燃料とする水素エンジンが、あらゆるところで活躍している。電力は自然エネルギーとともに格融合発電が実用化され、電力を供給している。また、従来の原子力推進エンジンは核融合炉によるものに変わっている。全てクリーンエネルギーである。

 基本的な労働はAIを活用したロボットが担い、人類はほぼ全ての単純労働から解放されている。生活費は政府から配給されるベーシックインカムによるので、人々は暮らしの中で芸術、芸能、スポーツ、趣味に生きがいを見出し、人生を楽しんでいる。もちろんより豊かな暮らしを求める人々には、高額の納税と引換に様々な収入を得る道が用意されている。

 現在の先進国で生活する人々がそうであるように、大部分の人々は種としての生殖にこだわることから離れ、少子社会を作り、富に対する限りない欲求からも離れ、一定の文化的な生活に満足する日々を送っている。その意味では、欲望を限りなく刺激する情報資本主義の魔力から人々は解放されている。生殖と富の欲求から人類が解放されるということは、まさしく、人類種の新しい姿と言える。

 医療技術の進歩により、人生120年となり、高齢化した人々は寄り添いあって暮らし、家族は解体している。

 しかし、一部の才能に優れ競争社会を楽しんで生きることを望む人々は、より豊かな富を求め、新しい技術の開発や投資に明け暮れている。彼らが、ベーシックインカムの基礎となる税金を納めるとともに、時代の革新を担っている。

 以上のような姿を予想するが、新たな技術が開発され、様相が全く変わっているのかもしれない。しかし、戦争がなくなり、人々が協調して平和に暮らすという姿は、なんとしても実現してほしい。

 人類は、発生の当初から共同体という社会の中で協調して暮らすことが生来であった。その小さな社会での平和を実現するために、生産力の貧しかった時代には、生き残りをかけて戦争を繰り返してきた。

 自分の属する社会の平和を求めて殺し合いをするというのが人類の性であった。

 しかし、人類は、これまで科学技術の進歩によって、生産力の問題をはじめ、さまざまな問題を解決してきたので、究極には、地球全体で平和な社会を実現して欲しいと心から思う。(2024/05/08)

世界-日本-経済