宮司のブログ

こんにちは。日吉神社の宮司を務める三輪隆裕です。今回、ホームページのリニューアルに伴い、私のページを新設してもらうことになりました。若い頃から、各所に原稿を発表したり、講演を行ったりしていますので、コンテンツは沢山あります。その中から、面白そうなものを少しずつ発表していこうと思います。ご意見などございましたら、ご遠慮なくお寄せください。

2024年は運命の年となるか?

2024年1月19日   投稿者:宮司

 2024年は、新年早々、能登半島地震が起こり、羽田では、人為災害が発生し、自然の面でも、人間社会の面でも、多難が予想される幕開けとなった。

 21世紀も、4半世紀が過ぎようとしており、徐々にこの世紀の姿が露わになってきた。20世紀を、国家と戦争の世紀というならば、21世紀は世界と共存の世紀となるように思われる。 

 それはどういうことか?20世紀終盤から人類は、インターネット技術を開発し、個人のコミュニケーションを究極の姿に変化させた。すなわち、諸個人は、世界レベルで、瞬時につながり、情報を共有できるようになった。

 古代国家の成立以来の国家の姿の変遷は、より多数の人々が政治に参加し、社会の姿形の決定に関与するようになっていく過程と捉えることができる。かつて、国家は、一部の人間によってその運命が定まり、大多数の人々は、その決定の埒外にあった。しかし、国民国家の成立と民主主義の発達は、より多くの国民がその決定に参加する形を整え、それはまた、国民の教育水準と政治意識の向上につながった。

 そして、インターネットが世界中の人間を結びつけた時、すべての人々は国家の軛を離れ、世界の人類の一員となり、世界世論を形成する担い手となると予想された。そして、それは、国家を超えた世界連邦の成立と、人種や民族の差異を超えた人類の共存への道筋を示すものと思われた。この前提として、人々は誠実に情報を共有し、確かな教養によって政治の方向を判断するという期待があった。

 しかし、現実は、そのようにはならなかった。世界の人々は、インターネット上に飛び回る偽情報に振り回され、ポピュリズムの政治家を選び、誤った政治の方向へ社会を導き、環境破壊を食い止めようとする努力を否定し、まっしぐらに人類崩壊の道を突き進んでいるように見える。

 おそらく、今が、人類の正念場である。インターネットという第3の産業革命ともいうべき技術は、諸刃の剣であって、当初はその良い面を期待されたが、現在は、その悪い面が噴出し、制御不可能とも思われる事態になろうとしている。

 ここで、人類の理性が働き、自らの意識を高め、インターネットを通じて人類共存の道を開いていくか、それとも、インターネットを通じて動乱と対立の種をまき、環境回復の道を閉ざして破滅していくかが問われる時が、おそらく今年である。

 米国大統領選挙で、トランプが選出されれば、良くても米国は真っ二つに割れて、世界のリーダーの道を放棄し、EUはロシアのプーチンとの直接対決を余儀なくされ、アジアは、中国の意のままにならざるを得ないかもしれない。温暖化防止の道は閉ざされ、人類は滅亡に向かうかもしれない。

 ネタニヤフやハマス指導者やISのリーダーのような原理主義者の対立による戦争が世界を覆い、人々は不安の中で、核戦争で死に絶えてゆくかもしれない。

 一方、人類の理性が発揮されれば、崩壊は避けられ、環境は回復し、世界が一つに結びつき、合理的なサプライチェーンが再生し、人類は、豊かで平和な世界の中で、人種、ジェンダー。文化の差異を超えた共存を実現できるかもしれない。

 おそらく、全ては、今現在、世界に住んでいる人々の個々人が、どれだけ意識を向上させ、自己をレベルアップし、より良い判断を下すかどうかの一点にかかっている。私たちは、一年後には、その結果を見ることができるであろう。              (2024/01/20)
 

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