再びイスラエルとパレスチナについて
2023年11月1日 投稿者:宮司
ハマスがイスラエルにミサイル攻撃を仕掛けたと同時に、ハマスの武装集団がイスラエルに越境し、10月7日、ガザの近くで行われていた若者たちの音楽フェスティバルを襲撃し、260人以上の死者を出し、人質として多くの外国人を含む人々が連れ去られたという。また、ハマスは同時に近隣のいくつかのキブツ(村共同体)を襲撃し、200人近い民間人の死者が出た模様である。キブツより連れ去られた人質を含め、現在では、230人近い人質がハマスに確保されていると見られる。
これに対し、ハマス武装組織の壊滅を宣言したイスラエルのネタニヤフ政権は、ガザ地区に在住するパレスチナの民間人に、ガザ南部への避難を重ねて呼びかけたのち、凄まじい空爆に踏み切り、現在は、地上戦に入っている。ガザの被害者は11月1日のNHKニュースでは8525人、一方、イスラエル側では1400人の死者が出ているという。ガザ南部への避難は、実質的に無理であり、戦闘による民間人の犠牲が心配されている。ガザの被害者は民間人とハマスの関係者が含まれているが、その割合はわからない。イスラエルによる難民キャンプや病院や学校の空爆で多くの死者が出ている模様であるが、元々これらの施設は、ハマスの拠点であると思われる。ハマスは人間の盾を使っている。
世界では、ハマスのテロを非難する一方、イスラエル政府の強硬な殲滅作戦により、パレスチナ民間人が犠牲になることを憂え、即時停戦を訴える世論が多数を占めている。
ハマスは原理主義者の集団であり、ネタニヤフも原理主義者である。共に、暴力によって相手を殲滅することのみを考えている。
私の知る限り、ネタニヤフを批判するユダヤ人は多い。ガザへのイスラエル軍の侵攻を支持しないユダヤの人々が多数であるとの報告もある。
しかし、ネタニヤフは挙国一致内閣を組織し、異論を封じて戦争を行おうとしている。米国はバイデン政権が必死になってイスラエルの強硬な作戦を止めようとしている。しかし、このように暴力の応酬となっては、ある程度の犠牲を伴わなければ、この戦闘は収まらないように見える。
パレスチナ・ガザ地区に住む人々は、ハマスに全面的に服従し、ハマスの武装闘争を批判する力を持っていなかった。ハマスはこれらの人々を人間の盾として扱い、自分たちのために死ぬのは当然と言った発言を行なってきた。それも国外に在住し、裕福な暮らしをしているハマスの指導者たちが、である。
これは、かつての日本で大東亜戦争の末期、戦争遂行のために国民の一億総玉砕を叫んだ軍部指導者、すなわち当時の原理主義者を彷彿とさせる。結局日本では、全国の都市が空爆に遭い、止めに原子爆弾を投下され、ようやく敗戦を認め、軍部は解体された。米軍の占領と、日本の民間人の努力の結果、現在の平和な日本が生まれた。
同じように考えると、原理主義者に支配されたガザの人々が覚醒し、ハマスを自力で排除するようになることが大切である。日本のように多大な犠牲と占領支配がなければ覚醒しないということではいけない。
つまり、世界中の世論を総動員し、一刻も早く、即時停戦を実現するとともに、ハマスのテロ行為を犯罪として糾弾し、実行犯と責任者に刑罰を課すことを最優先とすることが必要である。もし、停戦のみを主張するならば、それはハマスの思う壺である。必ず、実行犯と責任者の処罰を伴わなければならない。
そして、事態が安定したのちは、ハマスの政治生命を断ち、ガザの人々が民主的に自分たちの意見で自分たちの国家を運営できるように世界が支援しなければならない。これはヨルダン川西岸地区を含めたパレスチナ全体に言えることである。もちろんテロや暴力の温床となってはいけない。これはパレスチナ国家の責任である。
また、イスラエル政府は、原理主義者を政権から排除し、オスロ合意に基づく、イスラエルとパレスチナの国家共存を目指す政権となるように世界が支援すべきである。もちろん、パレスチナに対する不当な植民と暴力は直ちに中止し、占領部分をパレスチナへ返さなければならない。元々イスラエルは極めて民主的な憲法を持った国家である。国民の政治意識もしっかりしている。そしてそのような民主的な政権を作るために、世界中のユダヤ人が連携し、イスラエルと中東の安定に尽力すべきである。そしてそのような力をユダヤの人々は持っているはずである。
世界はもはや暴力で問題を解決できる時代ではない。
世界からすべての原理主義者や権威主義者が無くなったときこそ、世界に平和が訪れるときである。個々の人間の意識を高めなければならない理由がここにある。(2023/11/01)