宮司のブログ

こんにちは。日吉神社の宮司を務める三輪隆裕です。今回、ホームページのリニューアルに伴い、私のページを新設してもらうことになりました。若い頃から、各所に原稿を発表したり、講演を行ったりしていますので、コンテンツは沢山あります。その中から、面白そうなものを少しずつ発表していこうと思います。ご意見などございましたら、ご遠慮なくお寄せください。

ウクライナ戦争の終結

2023年6月7日   投稿者:宮司

ウクライナ戦争が、ウクライナ優勢となりつつある中で、日本の有識者だけでなく、各方面からウクライナ戦争の停戦や和平調停の呼びかけが相次ぐようになった。

 平和の呼びかけは、誠に結構であるが、停戦や和平の前提として、ロシアがウクライナから完全に撤退し、クリミアを含む全ての占領地のウクライナへの返却、ロシアが犯した戦争犯罪の認定とその補償、責任者の追及が不可欠となるはずであるが、どうもそのような内容ではないようである。それでは意味がない。

 この場合、多くの識者がいうのは、ロシアという強国に対し、ウクライナが勝利するはずがない、という前提である。これは正しいのか?

 明らかに間違っている。50年前、世界最大の強国と思われた米国がベトナムという小さな国に敗れ、追い出されてしまったことを忘れてはいけない。アフガニスタンに侵攻したソビエト連邦も、10年間、ゲリラと泥沼の戦いを行い、結局追い出されたのだ。

 このように、通常戦争であれば、多数の犠牲を伴っても、侵略された側に戦う意思がある限り、大国が追い出されるのが、現代の戦争である。前近代の、侵略が易々と正当化される時代とは違うのだ。第二次世界大戦が終了したときに、世界は、武力による国境の変項を許さないことで、一致している。

 もちろん、核戦争ともなれば、話は違う。しかし、核兵器は使用できない。なぜか?それは、以前のブログでも述べたように、権威主義の国家支配層にとっては、西側の世界こそが本当に住みたい楽園なのであるから、それを核兵器で破壊してしまったら生きる意味がなくなってしまうからである。彼らは、財力を得るために権威主義の世界に住み、自分たちの家族は自由主義の世界に住まわせている。もし、プーチンが錯乱して核兵器を使おうとすれば、当然、自由主義世界を残すために周りが止めに入るはずである。

 このように考えれば、核兵器を使ってしまえば世界は終わるということを、できるだけ多くの世界の人々に認識させることが、最も大切な核兵器に対する抑止力であることがわかる。

 時間はかかっても、ウクライナは勝利する。ロシアは、すべての占領地を放棄する。しかし、ウクライナは、ロシア領へ侵攻してはいけない。そのようにすれば、逆にウクライナによるロシア領土への武力侵攻とみなされ、世界の支持を失うであろう。

 おそらく、ロシアで政変が起こり、この戦争は終結する。中国は、それをじっと見ていることになる。ロシア東部への領土的野心を秘めて。もちろん、ロシアが分裂して、住民が自分たちの意思で中国に接近するならば、世界はそれを認めることとなるであろう。(2023/06/07)

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