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AI搭載ロボット社会の兆し

AI搭載ロボット社会の兆し

 最近のAIの発達は著しいものがある。それを搭載したロボットが中心となる社会の様子が少しづつ見えてきた

 最もはっきりわかるのは、やはり軍事技術の分野である。すなわち、ドローンという無人兵器がウクライナ戦線で目覚ましい活躍を見せている。ドローンで相手のレーダーを破壊し、目を失って無力となったところをドローンでサンドバッグのように叩く。このような戦術を多用して、ウクライナはロシアの国内各地のインフラを攻撃し、戦果を上げている。ロシアも、ミサイルと共にドローンが攻撃の主力になりつつある。高価なミサイルの代わりに、安価で人の命の損耗を必要としないドローンはまさに戦場のゲームチェンジャーである。

 国防を真剣に考えている日本であるが、古臭い核兵器よりも、このようなAI搭載の無人兵器を考える時期に来ている。まさに先端技術の開発が必要とされているのだ。恐らく、ミサイル防衛も、今までの迎撃ミサイルシステムのような点の防衛ではなく、電磁シールドのような面の防衛に切り替わっていくと思われる。ミサイルは無力化するであろう。そして、電子コントロールを妨げ、これを無力化する技術も争って開発されるであろう。防衛も攻撃も無人化されるが、防衛が突破されれば、人や物の被害が際立つこととなる。

 さて、AI搭載ロボットが次第に社会の中に溢れ、人間の仕事を肩代わりするようになれば、ほとんどの単純作業の労働はロボットに取って代わられるであろう。

 そうなると、経済政策の最大の課題は、経済循環を正常に保つために、大衆的な消費財の消費者を社会の中にどのように制度的に作り出すかということである。

 つまり、AI搭載ロボットによる生産労働が確立すれば、労働者は不必要となる。しかし、商品を消費する消費者の存在は経済循環にとって必要不可欠である。

 優秀で競争意欲に満ちた人々は、経済の生産分野の技術開発やシステム開発でその力を発揮し、運営管理者としても活躍し、あるいはロボットが肩代わりできないような生産分野で活躍し、共に大きな収入を得て富裕層を形成し、一定の贅沢な消費者となることができる。しかし、大衆的な消費財を生活の中で消費する人々無くしては、グローバルエコノミーの完成と全ての国の経済発展により世界規模になっているであろう経済の循環を完成させることができない。

 そこで、考えられるのは、BIなどの、お金の政府支給である。そしてこの原資は当然富裕層や企業利益からの税収である。その他の全く新しい制度が、開発されるかも知れない。

 お金は経済循環を行うためのツールであり、それ以下でも、それ以上でもない。

 では、一般の人々はどのような暮らしになるのであろうか?

 恐らく、基本的人権の保障として、教育や医療は無料化され、人々は労働する代わりに、文化や芸術やスポーツなど自己実現の活動を通じて自己の魂を完成させる暮らしをしているのではないか?

 もちろん、ゲームや遊興に夢中になる人々も出るであろうが、人間は、労働から解放されて十分な時間と金銭的な余裕を持てば、自己実現の行為に走ることは現代社会でも見られることである。

 また、恐らく、AIとロボットによってあらゆる暮らしが便利になっているので、現在の先進国に見られるように、人間は少子高齢化社会を作り、人口は世界的に自然に減少してくと思われる。
そして物欲からも解放された人々は、色々な小共同体を作り、その中で、前近代のような心からの結びつきや信頼感を醸成し生きていくと考えられる。

 現在の日本を見ていると、このような兆しが随所に現れていることが理解できる。若者は、大きな物欲を持たず、個人的な楽しみを重視して生活を送ろうとしている。

 さて、未来がそのように進むのであれば、政府も少しづつ準備を進めねばなるまい。今、日本で、国民一人一人に現金支給が論じられているのはその一つの現れである。

 確かに、日本の経済規模は大きくなって、日本の含み資産額も最大となっているようであるが、富は偏在し、一部の大企業や富裕層はますます豊かになり、大部分の一般大衆は物価高で苦しんでいる。このまま放置して、一般大衆が消費をやめてしまえば、経済循環が停止してしまうであろう。

 政府はそうなる前に、あらゆる手を尽くして、富の再分配の制度を構築しなければならない。それも経済の競争力を損なわないという条件の範囲で行わねばならない。つまり、経済の順調な循環にとっては、自由競争の原則を損なわないと同時に、富の極端な偏在を解消し、消費者を制度的に維持することが大切なのである。これからの市場経済は、そのように設計されなければならない。

 現在の日本の経済政策の要は案外そんなところにありそうである。   (2025/10/09)

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