中道改革連合の再生
今回の衆議院総選挙で惨敗した中道改革連合が迷っている。私は、どちらかというと、高市政権を支持しているが、政治のダイナミズムには対抗勢力が必要であるので、その再生を考えてみる。
中道改革連合の母体は、立憲民主党と公明党である。一言で言えば、惨敗の主原因はその支持勢力の消滅である。詳しく見ていこう。
立憲民主党は、漸進的な社会主義、もしくは社会民主主義の実現を目指していた。しかし、その支持母体が減少していることに気がついていない。具体的には、労働者と貧農の不在である。マルクス以来、共産主義や社会主義は、その実態はともかく、労働者と貧農の救済を目的としてきた。
しかし、日本では、中曽根内閣の公労協の解体に始まって、小泉内閣の非正規雇用の規制緩和により、労働三権を振りかざし、労働運動を行う労働者はいなくなった。連合は存在するが、大企業の会社員達の多くは、自社株を資産として保有し、また、NISAなどを利用して金融資産の形成を行なっている。一方、戦後の農地解放で、一定の私有農地を確保した農民達は、長年の農林省(現在は農林水産省)の保護政策によって、既に一定の資産家となり、金融資産を保有したり、事業用不動産を運用したりしている人も多い。すなわち、階級の溶解が進んでしまっている。明確な労働者階級や貧農階級は存在していない。
次に公明党である。もちろんその母体は創価学会だ。戦後、創価学会や立正佼成会はその宗教勢力を確実に伸ばしてきた。しかし、現在は衰退の時期に入っている。なぜか?これらの宗教は、家庭の平和と安定を主目的として教義が作られている。つまり、家族が布教のターゲットなのだ。
しかし、近代化の進展とともに、家族は解体され、個人化の時代が始まって随分時間が経過した。新新宗教は個人を布教のターゲットとしたので、幸福の科学やオウム真理教などが成功したのだ。つまり創価学会も支持母体が減少している。
以上を考えれば、再生の道筋は明らかである。新しい支持母体をどこに定めるかだ。
答えを言おう。格差社会の中で下層に取り残された人々である。つまり、資本収益に無縁の人々である。現状、日本の相対的貧困世帯は、内閣府によれば、年収127万円以下で生活する人々で、15.7%と言われる。しかし、平成21年の調査によれば、年収400万円以下の世帯は46.5%となる。500万円以下ならば、56,6%である。現在は、所得格差はさらに広がっているであろう。
物価高で、生活費が年々高くなり、年金暮らしで困っている高齢者も、その中に含まれている。
こういった人々を救うには、現金給付や消費税の減税が選択肢となる。現在高市政権が取り組んでいる課題である。
しかし、財源の問題が十分に議論されていない。これをきちんと指摘し、適切な案を提示しなければならない。財源は、大企業への課税、投資収益を上げている金融資本を持つ人々への課税に求めるのが妥当である。なお、大企業は国境を越えて移動するので、課税についても、国際協調によるルールの確立が必要となる。海外投資収益型国家の日本が先導すれば良い。
なぜか?彼らは、現在のグローバルな金融資本主義経済を利用して収益を上げているからである。そしてその経済システムを維持するためには、実体経済の中で消費者が必ず必要となるからである。消費者無くして経済は循環しない。このことをまだ多くの経済学者すら理解できていない。スマート社会に突き進んでいる現在、労働者は必要でなくなり(AIロボットが肩代わりする)、代わって消費者が必要となるのだ。
また、グローバルなエコノミーは世界の経済成長、すなわち、発展途上国が全て先進国並みの生活を享受し、貧困層が消滅するためには、再建することが必要不可欠である。これを主張すべきだ。
これからは、国家が主役ではなく、企業が主役の時代である。国家を越えて企業がグローバルな経済活動を展開し、収益の一部を国家に納税し、国家はそれを社会福祉や医療や教育の充実に充てるとともに、給付金として国民に配分する。そのような社会構造の変革が必要である。
中道改革連合も未来の世界を見据えて、国家を超えた企業主役の時代における、新たな人類の『生存権』の再定義を目的とする壮大な政策提言を行なってはどうか?(2026/03/04)