秀吉の出自と当神社の不思議
秀吉の出自と当神社の不思議
今年は、NHKの大河ドラマで「豊臣兄弟」をテレビドラマ化するので、当神社に参拝される方も増えると予想されます。
多くの参拝者の関心事は、当神社と秀吉の関係です。ほとんどの皆さんが、「日吉丸」という秀吉の幼名は「日吉神社」にちなんでつけられたのでしょう? といったことをお尋ねになります。
しかし、これは決定的に間違っています。なぜなら、当神社は、政府が明治元年に神仏判然令(神仏分離令)を発令し、神社から仏教色を取り除くことにし、仏教色の強い神社名を神道系の名前に改めるように通達し、当神社は、「山王宮」という名称から、強制的に「日吉神社」という名称に変えられたのです。
ちなみに、当時神社に祀られていた神宮寺の薬師堂ですが、外へ出され、今では、建物は神社近くの地域の集会所になっています。弘法大師が彫ったと言われる薬師仏と諸仏は、幸い、2018年、150年振りに当神社へ戻り、本殿の中にお祀りされています。
したがって、秀吉の生きた時代には、当神社は「山王宮」であって、日吉神社という名前ではなかった。
これは一次資料の文献でも、はっきりしています。今でも、神社周辺に長く住んでいらっしゃる人々は、当社を「山王さん」とか「お山王」と言います。江戸時代の神社名を刻した扁額が出てきて、「山王宮」としてありました。私はそれをきれいにして、旧拝殿の正面に掲げました。
ところで、「権現」とは、仏が神の姿をもって現れたという意味です。正しく仏教色の強い名前ですね。最近では、秀吉の出自について色々な方々が評論していますが、その中に、当社は当時「日吉権現」と呼ばれていて、日吉丸の名前のもとになったと書いている一文がありました。歴史的に見ても「日吉権現」という神仏混淆の名前はありません。びっくりしました。
正確に言えば、京都の鬼門の守護として、日吉大社という古い神社があります。その神と仏を結びつけて「山王神道」が中世に延暦寺の僧を中心に広まりました。日枝山(比叡山)の山岳信仰、神道、天台宗が融合したものが山王神道であり、山王権現(日吉大宮権現)は釈迦の垂迹であるとされ、神仏分離では日吉大社の本来の祭神である大山昨神とされました。
当神社の祭神は、「素戔嗚尊」と「大己貴命」です。771年に当地に祀られたのが始まりであり、神社の神のお使いは、猿です。ですから、当神社では、秀吉はその母が当神社に祈願し授かった子であり、身のこなしが猿に似ていたと伝えています。
その後、1580年に清州城代の織田信張が日吉大社から山王21権現を勧請し、そのうちの大山昨神が本殿に入り、現在の本殿は三座となっています。
肝心の秀吉の出自ですが、歴史事実としては不明です。尾張中村と一般的に言われますが、これは二次資料によるもので、はっきりしません。
清洲には昔から、当時清洲に住んでいた母が当神社に祈願し授かったのが秀吉であると伝えています。
それについて資料がないかと探していたら、二次資料ですが「祖父物語」(朝日物語)のなかに、秀吉は「ミソノのガウド」に生まれたという記載がありました。古来、御園という地域が清洲にはあります。
全く別の系統の情報ですが、古代から「傀儡」と呼ばれる集団がありました。その伝承を受けていた方が、当神社に参拝されて、歴代の総代会長の写真をご覧になり、びっくりされました。それは、尾張の傀儡集団を引き連れて、当時関西にお住みになっていた幼少のその方に尾張の傀儡舞を伝えた頭領がその方であったというのです。
そしてもう一つ、傀儡は「古山王」という舞を伝えていますが、これは全国でも清州の山王さん、つまり当社でしか舞ってはいけない舞だと伝えたそうです。
そのことにちなんで、当神社では、大祭に、傀儡舞の奉納が行われています。
もう一つ、不思議なお話があります。弘法大師生誕1200年の1974年、私が26歳の時、神社の近くに住んでいた総代さんから連絡が入り、当時無人であった神社へ私が行ってみると、善通寺で、神様のお告げを受け色々なことを占って暮らしていらっしゃるご婦人が、ご参拝でした。聞けば、神様から「秀吉さんのお宮を参拝しなさい」と言われて、ここへ辿り着いたと言われます。
名古屋駅へついてからは、神様の右へ行けとか左へ行けとかの指示を受けて、当社へ到着されたとのことです。
早速、社務所を開けて、社殿を清掃し、ご祈祷を受けていただきました。多額のご祈祷料を奉納され、お帰りになられました。
このことから、ご神示では、秀吉の神社は当社であるということになります。
後陽成天皇は、秀吉が病気になったときに、京畿諸大社、熱田明神、そして清須明神に勅使を遣わして、平癒を祈願しました。この清須明神はどこかということは明らかではありません。しかし、色々な資料をみると当神社であると推定されます。
以上、秀吉と当神社の関わりについて、できるだけ正確に書いてみました。皆様のご参拝に役立てば幸いです。(2026/01/23)