エネルギー転換と新技術の開発
今回の米国 とイスラエルのイラン爆撃の結果のホルムズ海峡の封鎖をめぐる一連の動きと、それに伴う石油価格の上昇は、石油依存一辺倒のエネルギー政策がいかに危険なものかということを示した。日本においては、すでに政府は、火力発電、原子力発電、再生可能エネルギー(太陽光、風力、地熱、水力、等)を組み合わせて必要なエネルギーを賄い、その中でも、再生可能エネルギー、つまり脱炭素エネルギーの開発を強力に推し進めようとしている
再生可能エネルギーの中心を為す自然エネルギーについては、以前から、日本の立地は、自然由来の無害なエネルギーを得るには最適であり、世界でも有力な自然エネルギー大国となるであろうと言われてきた。確かに海に囲まれ、火山活動が盛んで、急流が流れている日本の自然は、まさに自然エネルギーの宝庫である。
もちろん、水力については、ほぼ開発済みであるが、地熱、風力、太陽光についてはまだまだ開発途上である。今後、炭素を生み出してしまう石油石炭火力発電や核廃棄物を生み出してしまう原子力発電に依存しない安全なエネルギー国家を目指すには、是非とも必要なエネルギー開発といえよう。しかしまだ、自然の力を利用しようとすれば、旧態依然の観光や温泉保護を目的とした規制の網が開発を妨げている事例が多々見られる。この辺りは整理していかなければならない。
しかし、これまで、日本政府は、エネルギー転換政策に本気で取り組んできたのであろうか?1970年代の石油危機では、石油輸入先の多様化を目指し、代替エネルギーでは天然ガスに頼ろうとした。
もちろん当時の技術や社会状況ではやむを得ない面もあったろう。しかし、その後、エネルギー関連の技術や世界の状況は随分変わった。太陽光エネルギーなど自然エネルギーの蓄電技術が得られ、世界は脱炭素化に向かってきた。その中で、日本は真剣にそういった技術開発に取り組んできただろうか? 確かに、太陽光電力の買取や発電装置の技術開発も行われてきたが、十分ではなさそうだ。
2026年現在、太陽光パネルの価格は、2021年の1ワットあたり0.25ドルから、現在では0.07~0.09ドルまで下落したという。得られた自然エネルギーを使用するためには、蓄電池の技術が重要となる。大規模蓄電池も益々安価で効率的なものが作られるようになった。ところが、両者のサプライチェーン、つまり製造拠点は、ほぼ一か国に集中している。中国である。今後の多様化も模索されているが、現在は中国の独占的な状態が続いている。
自然エネルギーの中で、最も大規模なエネルギー源は太陽であり、世界中どこにでも発電システムを設置することができる。
したがって、今後、エネルギー転換が進めば、中国がそういった装置の供給元の中心になることが予想される。中国政府は、スマート社会を見据え、その中で輸出大国として生きていくために、先端技術である半導体、EV、ロボット、AIなどの先端技術を政府主導で磨いている。現在の中国は経済不況で苦しんでいるが、立ち直った時の経済的、政治的な力は米国を超えるかもしれない。
それに対し、日本はどうか?かつては家電製品、カメラ、自動車、機械、化学製品などを世界の市場に提供してきたが、デジタル時代に入って立ち遅れ、世界をリードするような新しい技術をなかなか生み出せていない。特に、パソコンのOS開発やデジタルサービスで立ち遅れたことは大きい。現在の日本の技術は半導体関連の製造装置などに活路を見出しているが、むしろ最近では特定の農産物や食品、アニメ、ゲームなどの娯楽装置などの輸出が目立つようになった。工業製品の製造拠点を海外に移動させたために技術立国の面影は少なくなった。全固体電池などもトヨタと中国が開発を競っているが、どちらが先んじるであろうか?
今一度、時代を先取りする根本的な技術開発に日本が挑もうとするならば、AI社会が莫大なエネルギーを必要とすることを考えれば、光電融合などの省電力技術を製品化することが有力である。しかしこれとても、中国の省電力半導体開発との競争である。遠くを見据えれば、水素発電や核融合発電も無際限のクリーンエネルギー技術として具体化が切望されている。このような経済の技術開発はまた、日本を世界のサプライチェーンの一角とすることとなり、結果的に地政学的な安全保障となり、日本をより安定した国家とするであろう。 (2026/04/27)