宮司のブログ

こんにちは。日吉神社の宮司を務める三輪隆裕です。今回、ホームページのリニューアルに伴い、私のページを新設してもらうことになりました。若い頃から、各所に原稿を発表したり、講演を行ったりしていますので、コンテンツは沢山あります。その中から、面白そうなものを少しずつ発表していこうと思います。ご意見などございましたら、ご遠慮なくお寄せください。

ロシアの戦争犯罪

2022年4月17日   投稿者:宮司

ロシアの戦争犯罪が止まらない。

 民間人の虐殺、民間人からの略奪、民間人の強姦等々、ウクライナでは、ロシア軍の戦争犯罪が止まらない。

 これは、ロシアの軍隊の綱紀の緩みではなく、ロシアの戦争司令部からの許可、もしくは容認が存在すると見て良い。なんと言うことか。信長の軍隊でも、民間人の虐殺、略奪、強姦は禁じていた。世界史でいえば、十字軍の遠征やモンゴル帝国の征服時と同じではないか。なんという時代錯誤!言葉も出ない。

 1日も早く、この地獄図絵をやめさせるために、停戦協議を実らせてほしい。米国、英国、フランス、中国の指導者たちは協働してロシアと折衝し、ウクライナとロシアの停戦を実現すべきである。

 それにしても、国境を越えてサプライチェーンを確立し、戦争をせずに豊かになる道を確立したはずの人類が、なぜ、今、一千年も前の意識に戻って、しかも、核兵器を含む近代的な武装のもとで、このような馬鹿げた行為をするのか?原因が、プーチン個人の時代錯誤であろうと、米国軍産複合体の野望であろうと、馬鹿げた判断としか言いようがない。

 これは、人類の限界を露呈したも同然である。人類自身が直接の原因であるこのような状況を放置すれば、それは人類の自殺に等しい。世界の世論は、挙ってこの点を指摘するべきである。

 なお、この戦争をカトリック圏で確立された自由民主主義文明と東方正教圏の権威主義文明の対立と捉える論調があるが、それは間違いである。現に、正教圏のギリシャやルーマニアやブルガリアはNATOに加盟している。また、儒教、仏教圏の日本や韓国も民主主義陣営に属している。要点は、近代化された世界は宗教も世俗化し、宗教の如何を問わず、自由民主主義を選択するということだ。

 その意味では、中国も、ロシアも、一度でも近代的な生活を味わった人々は、権威主義を嫌う。しかし、それが圧倒的な過半数にならなければ、その国は権威主義から抜け出せないということだ。したがって、現在、ロシアの正当性のない戦争に疑義を持つ近代化されたロシアの人々はロシア国外へ脱出している。残った人々は前時代的な意識で、プーチンを支持している。

 したがって、ロシアが内部から崩れることは予見し難い。結局、ロシアの面目も立てながら、停戦に持ち込み、外交的な解決を模索し、朝鮮の38度線のようなラインを設置するより道はないように思われる。

 その後、徐々にロシア圏の人々の意識の近代化を図っていくことが最上の戦略である。先進諸国の指導者の英断に期待したい。なお、これは北朝鮮やイランにも当てはまる。悪戯に疎外し、国際的に孤立化させることでは、根本的な解決はできない。(2022/04/17)

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