宮司のブログ

こんにちは。日吉神社の宮司を務める三輪隆裕です。今回、ホームページのリニューアルに伴い、私のページを新設してもらうことになりました。若い頃から、各所に原稿を発表したり、講演を行ったりしていますので、コンテンツは沢山あります。その中から、面白そうなものを少しずつ発表していこうと思います。ご意見などございましたら、ご遠慮なくお寄せください。

五輪の成功とコロナ蔓延、そして医療放棄?

2021年8月17日   投稿者:宮司

 東京五輪の半分、オリンピックは終わった。引き続きパラリンピックが、無観客で行われるであろう。

 私は、オリンピックのテレビ中継は全く見なかったが、開催期間中、メディアは日本選手の活躍を、毎日大々的に報じ、国民は感動し、アスリート等を称賛し、つまり、オリンピックは成功した。しかし、このオリンピックはコロナと暑さとの厳しい戦いの中で行われた。地の利を得た日本選手が多くのメダルを取ることは予想通りであった。感染対策としてのバブルはある程度まで機能したが、いくつかの綻びが見られた。


 結果として、この開催によって、国民のコロナへの警戒心が緩み、デルタ株の猛烈な感染が広がり、緊急事態宣言を出しているとはいえ、感染爆発を防ぐことはできず、政府は半ばお手上げ状態となっている。オリンピックの成功とコロナ終息による政権支持率の回復を目指した政府の目論見は見事に外れ、とうとう支持率は30%を切った。

 つまり、見事に菅政権は失敗したのである。さて、これからどうしよう?本来は、コロナ発生以来1年半以上が経過した今までにやるべきことはいくつかあった。まず、2020年末にワクチンが開発され、日本も、2021年春以降に輸入できることがわかった段階で、この摂取をいかに効率的に進めるか、また、そのための施設をいかに整えるかといったことを検討し、準備する期間は十分にあった。しかし、当初自治体丸投げを決めた政府は何もしなかった。そして、五輪開催を目の前にして、接種の迅速化を図るために大規模接種会場の設置や、自衛隊医療チームの活用や、接種担当者の拡充や職域摂取まで、次から次へと泥縄式に策を打ち出し、ワクチン接種の現場は混乱の極みとなった。ようやく落ち着いた頃には、デルタ株の猛威が始まり、現在は医療崩壊のカウントダウンの最中である。病床の逼迫は自宅療養者の激増を生み、十分な手当も与えられず亡くなる人も出始めている。
 このような医療逼迫は、当初から十分に予想できていた。しかし、場当たり的な対応に終始した現政権は、とうとう、最悪の事態を招きつつある。まだ間に合う。早急に野戦病院的な仮設病院を、大都市周辺に1000病床〜2000病床くらいのものを200〜300棟用意すべきである。仮設であるから、コロナ禍が終われば、解体すれば良い。そしてその施設分の医療従事者を早期に育成すべきだ。戦時中に特攻を用意した要領である。つまり、医療資源の思い切った拡充を行い、コロナ感染者全員の隔離を可能とするのである。そのくらいの規模とスピードで対応していかなければ、この感染は収束しない。自宅やホテルを利用した療養を許していたら、感染の広がりを止めることはできない。そして、時間を稼いで、治療薬の開発やワクチン接種による集団免疫を確保するのだ。


 一方、致死率が低いことを根拠に、軽症者は放置するとか、季節性インフルエンザ並みの指定感染症5類にするといった議論が出ているが、これは根本的に間違っている。そのようにしてしまってから、致死率が高い変異株が流行し始めたら、どうするのか?まして、受診が通常診療並みに有料となるということならば、低所得者はたまったものではない。座して死を待つこととなる。これは医療崩壊ではなく、医療放棄だ。このようなことを考える人々は頭がどうかしている。


 指定を5類に変更するならば、ワクチンによる集団免疫が日本社会全体に完成し、なおかつ、感染しても回復できるような治療薬があらゆる医療施設に行き渡った後に考えるべきだ。こんなこともわからない厚生労働省の役人など、全員交代していただきたいと切に思う。      (2020/08/17)

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