宮司のブログ

こんにちは。日吉神社の宮司を務める三輪隆裕です。今回、ホームページのリニューアルに伴い、私のページを新設してもらうことになりました。若い頃から、各所に原稿を発表したり、講演を行ったりしていますので、コンテンツは沢山あります。その中から、面白そうなものを少しずつ発表していこうと思います。ご意見などございましたら、ご遠慮なくお寄せください。

東京五輪の強行開催に思う

2021年6月23日   投稿者:宮司

  東京五輪の開催が1ヶ月後に迫っている。首相に「安全安心の東京五輪」と言われて、なるほどそうだと思うことのできる人は皆無であろう。

 しかし、IOC と東京都と日本政府は開催に踏み切るであろう。

 思えば、一年前、当時の安倍首相は、五輪を延期する理由として「東京五輪を人類がコロナウイルス感染症に打ち勝った証としての大会にしなければならない」と見得を切った。

 しかし、現実には、そのようにならないことが確定している。ワクチンの接種による集団免疫の確保も時間的に間に合わない。

 また、安倍首相は「アスリートも観客も安心して参加できる、完全な形の五輪・パラリンピックを開催するということを申し上げている。(パンデミックが)終息していない中においては、完全な形で(大会を)実施することはできないと思う」とも言った。
 また、当時の五輪組織委員会会長の森喜朗氏は、パンデミックが来年も脅威であり続けた場合、東京五輪は2022年にまで延期され得るのかという質問に「ない」「そのときは中止」と答えていた。

 1年前の両者の言葉を素直に受け取れば、今年の五輪は開催することはできない。中止となるのが当然である。しかし、現在の管政権は正当な理由を示さず、遮二無二開催を強行しようとしている。

 これはなぜか? それは、おそらく、内閣支持率と深く関わっている。現在、政権発足以来最低の40%を切る支持率となり、直近の国会議員選挙や首長選挙でも、軒並み与党推薦候補が敗北していることを受け、起死回生の手段として、東京五輪開催の成功による支持率回復を狙っているのであろう。

 そして、これは運任せ、神頼みの博打である。五輪開催には、国民の60%、いや延期を含めれば恐らく80%近い国民が懸念を持っている。しかし、直近の世論調査で開催賛成が多数となったと報じていることを考えれば、多くの国民が中止や延期を諦めて政府の決定に従う方向に舵を切ったように見える。

 とりあえずは政府の思い通りである。しかし、今後、展開は予断を許さない。仮に、開催中に変異株を含め感染が急拡大したらどうなるか?あるいは、五輪終了後に手が付けられないほど感染が拡大し、医療が崩壊し、死者数が激増したらどうなるか?もちろん自民党政権の崩壊である。しかし、全てはやってみなければわからない。

 運が良ければ、感染の収束と五輪の大成功が管政権を長期政権にするであろう。ともかく運否天賦である。しかし政府のリスク管理の下手なことは実証済みである。現今の状況が、敗北がほぼ予想されるのに、大東亜戦争に突き進んだ時期の日本の政治と同質であると批判される所以である。

 さて、どうなるか。筆者もわからない。しかし、この様な国民の意思を汲み取らない運頼みの政治は、やめてほしいと思う昨今である。ともかく、五輪のテレビ中継は見ないことにしよう。 (2021/06/23)

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