宮司のブログ

こんにちは。日吉神社の宮司を務める三輪隆裕です。今回、ホームページのリニューアルに伴い、私のページを新設してもらうことになりました。若い頃から、各所に原稿を発表したり、講演を行ったりしていますので、コンテンツは沢山あります。その中から、面白そうなものを少しずつ発表していこうと思います。ご意見などございましたら、ご遠慮なくお寄せください。

虚偽主義とポピュリズム

2020年12月15日   投稿者:宮司

 米国大統領選挙では、民主党のバイデン氏が次期大統領に確定した。敗者のトランプ氏はなおも抵抗を続け、法的措置での逆転が不可能と見るや、支持者の間では、戒厳令の発動を望む声がある。万が一にも、米軍がそのような無茶を聞き入れることはないが、それにしても、トランプ本人はいざ知らず、その支持者たちが、日米含めて、狂信的にトランプ政権の延長を望むのはなぜであろう。

 日本のかつての安倍政権の支持者と、トランプの支持者が重なっていることから考えれば、それは、そういった人々を言論で誘導する人々が知性、あるいは事実に対して嫌悪しているせいではないかと考えられる。彼らは、事実に対して虚偽を広め、それを人々に信じさせ、事実ではなく虚偽に基づいて社会を秩序づけていきたいと考えている。もちろん彼らに誘導されて虚偽が事実であると信じ込まされた人々は、純粋に虚偽を事実であると主張していく。それが分厚い層となると、虚偽主義者たちの思う壺である。そのように作られた狂信者たちが、トランプ政権の延長を望んでいる。念のためいっておくが、「虚偽主義」などという概念は存在しない。私の造語である。それを作らなければならないほど、現今の社会には虚偽が蔓延している。

 日本での、歴史修正主義の主張、安倍首相の度重なる虚偽答弁を応援し、虚偽を真実と思わせようとする姿勢は、米国のトランプ支持者の言論リーダーたちが、トランプを英雄的に評価し、その政策の間違いを一切認めず、今回の選挙について、ありもしない不正の証拠を言い立てそれを理由として選挙を無効にしようとする姿勢と同様である。

 日本の安倍政権の虚偽性については、森友問題の推移や、桜を見る会の最近の検察の調査を見れば、説明の必要もあるまい。

 米国のトランプ支持者の言論リーダーは、トランプの再選によって恩恵を被る人々や法輪功などの宗教関係が主流であり、その主張はまるでカルト信者作りのようである。それに惑わされた共和党の幹部の幾人かも、おそらく虚偽を事実と思い込んで、行動しているように思われる。トランプ信者たちは、この選挙の不正を許せば、民主主義が破壊されると異口同音に主張するが、彼らの主張こそが民主主義を破壊しているという事実を一切認めようとしない。

 ここまで人間力のない人々が社会に増殖したのは、ひとえに、安倍晋三やドナルド・トランプといった平気で嘘をつき続ける人物を一国の権力者に担ぎ上げてしまったポピュリズムのせいである。今まで本ブログで重ねて説明してきたように、ポピュリズムは民主主義の必要悪のようなものであるが、ここまで増殖してしまうと、正常化には大きな労力が必要となる。個人化された社会にあっても、常に正しい情報を選択的に取得し、事実に基づいた社会認識ができる人々を強力に育成していかなければならない。

 日本では、9月に菅政権が成立した。3ヶ月が経過したが、これまでのところ、日本学術会議での混乱はあったが、首相は嘘をついてはいない。これは高く評価されるべきである。内閣が誠実であれば、虚偽主義の人々も淘汰されていくであろう。最も、政策的な評価ではなく、嘘をつかないということで内閣が評価されるようではいけないのであるが・・・。

 また、トランプ信者のために、トランプの実態を少し紹介しておこう。彼を中国封じ込めの大将のように評価する人が多いが、決定的に間違っている。就任当時のロイター評を読めば、彼が集近平やプーチンの前で、卑屈に振舞っていたこと、彼らにお世辞を言って良い関係を作ろうとしていたこと、ウイグルや香港の人権問題について、習近平にそれは中国の問題だから米国は関与しないと話していたこと、貿易問題で中国の譲歩を引き出したらすぐに為替操作国指定という制裁措置を解除したこと、中国に厳しい態度をとるようになったのは、新型コロナウイルス蔓延以降、すなわち今年に入ってからで、それが国民に受けると知ってからは矢継早に中国に厳しい政策をとるようになったことなどを挙げておこう。また、TPPからの離脱、パリ協定からの離脱、EUとの連携拒否など、どれを取っても、中国を喜ばせ、その強大化と国際的な存在感の強化に力を貸したことになった。さらに、自国の民主主義がいかに脆いものであるかを中国に見せつけ、中国政府への中国国民の信頼醸成に力を貸したのである。ともかく選挙以降の彼の言動を見ればわかるように、彼は、敗北を客観的に認める理性を持っていない。これは彼の親族が書いた暴露本でも示されている。トランプという人物は、元来、大統領には不適格な人物であった。(2020/12/15)


 

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