宮司のブログ

こんにちは。日吉神社の宮司を務める三輪隆裕です。今回、ホームページのリニューアルに伴い、私のページを新設してもらうことになりました。若い頃から、各所に原稿を発表したり、講演を行ったりしていますので、コンテンツは沢山あります。その中から、面白そうなものを少しずつ発表していこうと思います。ご意見などございましたら、ご遠慮なくお寄せください。

中国共産党の行く末

2020年7月4日   投稿者:宮司

 遂に、中国共産党は、香港に国家安全(維持)法を適用した。

これは、中国のこれからの衰退を暗示するものだ。中国は、いや中国共産党はどこへ行くのか?

 本ブログの、「民主主義の風」でも触れた様に、香港は、中国の唯一の希望であった。将来、中国が民主化し、世界のリーダーとなる道は、中国共産党が香港に学ぶという一点において、可能性が開かれていた。もし、中国共産党が解散し、中国を欧米同様の民主国家とし、世界連邦を構想すれば、世界一の人口を有する中国から民主的に世界連邦の大統領が選ばれ、世界を牽引していくことは自然の成り行きであった。

 しかし、中国共産党は、既得権益の擁護のために、香港の中国化という最悪の選択をした。これは何を意味するか?

 香港は、中国が世界と取引するために欠くことのできない重要な金融センター、貿易の窓口である。しかし、すでに米国上下両院は、香港自治法案を可決し、香港の銀行に足枷をはめ、その役割を機能不全としようとしている。英国は、香港在住の300万人ほどの市民に英国市民権を与えるという。豪、加、台湾も移民の受け入れを表明している。富裕層は挙って海外へ脱出するであろう。今後も次々に香港の金融センターとしての役割は消滅していくと考えられる。東アジアの金融センターは恐らくシンガポールにシフトする。シンガポールは華人の支配下にあるが、中国に全面的に協力するとは思えない。なぜなら、すでにシンガポールは経済的に中国より成功しており(一人当たりGDPは世界9位、日本の1,5倍 2017年)華人社会の独立性に重きを置き、国内的には、リー・カンユーの独裁体制から多様化、共存の民主主義にシフトしているからである。すなわち、独立した香港と思って良い。この様にして、中国は世界経済へのリンクの窓口を失うこととなる。つまり、中国経済力の70%を占める外資の調達が、直接投資を除いて、今後は難しくなる。また、中国の労働賃金が一定の上昇を見たので、現在、中国に存在する外資の工場は、より安い労働力を求めて次々にベトナムあたりに移転するであろう。

 さらに、現在中国が進めている一路一帯の構想が、発展途上国への金融と契約の締め付けによる、新しい植民地政策であることが次第に明らかとなってきた。この政策により、中国主導の経済圏を作ろうとした目論見は失敗した。世界の貿易上の決済通貨に占める中国元の割合は、5%を切っている。

 ト・シャンピンが始めた「改革開放」政策により中国は共産主義を捨て、資本主義市場経済を導入し、一定の成功を収めた。それは、明治から始まった大日本帝国の富国強兵策に勝る短期的な経済的成功を中国にもたらした。しかし、政治的には共産党一党独裁という集団指導の全体主義であり、度々の内発的な民主化の要求を退け、現在の姿となった。

 中国経済は、外資を導入し、外需主導の貿易国家として発展してきたが、そろそろ近代化に伴う一回限りの高度成長も終焉の頃だ。そして、ここにきて、世界のサプライチェーンから、中国経済が外されようとしている。それは、米国が、中国の内発的な民主化を期待し、見守るという関与政策を放棄し、敵対国家として封じ込めを考えるという最近のトランプ政権の方向転換による。しかし、トランプは、いつもディールで物事を考える人物であるから、いつ豹変するかわからない。むしろ、11月以降の民主党政権で、本格的な中国敵視政策が始まると見た方が良い。なぜか?

 中国は、GDP世界2位という経済的な成功と、空母を建造したという軍事的な成功に酔いしれ、シー・チーピンが世界覇権の野望を持ち始めたことによる。そして、細菌兵器かどうかは今もって不分明であるが、COVID19の発源地であったことから、欧米諸国の顰蹙を買い、次第に追い詰められている。もし、自由主義陣営が、中国の経済封じ込めを政策とすれば、中国は、かつてのコメコンのような独立した経済圏を作らざるを得ない。中国の外貨準備はUSドルで、世界2位であるが、使ってしまえばもう終わり、世界貿易のリンクから外された中国元は無価値となる。

 今後、中国が自らもたらした経済的な危機から脱するとしたら、外需を内需主導に切り替えることだ。幸い、中国には膨大な人口があり、都市と田舎の経済格差も大きい。ここに中国の進むべき道がある。外交や軍事プレゼンスに浮かれている場合ではない。そして、田舎の人々の暮らしが豊かになることは、結果的に中国の民主化に大きな前進となるであろう。つまり、中国共産党は、進むも地獄、引くも地獄という状況にある。

 一つボタンをかけ違うと、経済的に回復不可能に追い詰められた中国は「窮鼠猫を嚙む」のたとえ通り、暴発しかねない。中国と欧米諸国が激突する場合、互いに相互確証破壊戦力を持っているため、核兵器は使えない。ロシアは、漁夫の利を狙うであろう。中国に勝ち目はない。

 中国が戦争に踏み切る場合、その大義名分は、「アジア的価値観」である。最近、欧米側にも、「文明の衝突」的な時評が見られるのは、誠に残念である。そして、日本では、自由と民主主義の価値観に疑問符をつけ、中国的な権威主義の政治を賞賛するような時評が出るのも馬鹿げたことだ。

  現在の中国は、かつて経済封鎖により追い詰められて、勝算もなく暴発した大日本帝国に限りなく近づいている。今後、中国共産党に正気が戻ることを心から期待している。       (2020/07/04)

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