宮司のブログ

こんにちは。日吉神社の宮司を務める三輪隆裕です。今回、ホームページのリニューアルに伴い、私のページを新設してもらうことになりました。若い頃から、各所に原稿を発表したり、講演を行ったりしていますので、コンテンツは沢山あります。その中から、面白そうなものを少しずつ発表していこうと思います。ご意見などございましたら、ご遠慮なくお寄せください。

ロータリーあれこれ イスラエルと日本

2019年7月28日   投稿者:宮司

 最近、私は、ロータリー活動に熱心である。ロータリー歴は長く、二十年を超えるが、もともとそれ程出席の良いロータリアンでは無かった。それが、最近では、欠かさず出席している。
 原因の一つは、一昨年、2017-18年度の会長を務めたことにある。その折の会長研修会で、ロータリーにグローバルグラントというプログラムがあることを知った。海外に友人を何人かもっている自分には、簡単にできそうで、しかも、時代にあったプログラムであると思い、手をつけた。

 インドの友人と図って、タミールナドー州のナガパチナムロータリークラブと組み、その7つの地区の9つの小中学校にトイレを新設した。また、一つの地区に浄水装置を設置し、ナプキンの自動販売機を設置した。二年間で、ほぼ、完了し、今、最後のチェックを行っている。
 このプログラムの財源は、半分が関係するロータリーの地区から、残りの半分が国際ロータリー財団から拠出される。したがって、自分の所属するロータリーに金銭的な負担はかからない。これも、私にとって手を付けやすい理由の一つであった。 

 2018年の6月の終わり、トロントで開かれたロータリー世界大会に参加した。そこで、初めて、国際ロータリーの事務局長である、ジョン・ヒューコ氏の挨拶を聞いた。彼は会場の聴衆に問いを投げかけた。現在、世界中で、様々な紛争や戦争が頻発し、食料や医療の不足に苦しむ人々が多数存在している。果たしてこれは改善されていくであろうか、それともより酷くなっていくであろうかというものであった。三分の一くらいの人々が、より酷くなるという方に挙手をした。しかし、その後、ジョンは、実は第二次大戦後、このような状況は確実に一歩ずつ改善しているという事実を告げた。すなわち、我々は、不幸な状況を我々自身の手で、少しずつではあるが、これを改善し、より良い世界に作り変えていくことが可能であるということを告げた。
 ロータリーの力で、一歩ずつ世界を良い方向へ導くことが可能であるのだ。これこそ、まさしくグローバルグラントの意味であると、私は理解した。

 間も無く、インドとのグローバルグラントのプログラムは終了する。引き続き、今度は、イスラエルのエイラトロータリーとグローバルグラントプログラムを行う予定である。テーマは、紛争の解決。ちなみに、インドとのプログラムのテーマは、水と衛生であった。

 親友のシュロモ・アロン博士が、エイラトロータリーを紹介してくれた。打ち合わせを兼ねて、今年の三月、エルサレムで開催されたイスラエルロータリーの90周年の記念コンサートとレセプションに、私のロータリークラブの友人たちと共に参加した。日本のロータリーの参加は突然決まったことで、私たちの他に、本来招かれたロータリアンがいた。驚いたことに、それは、ドイツのロータリーの代表と、アメリカのAction Group for Peaceというロータリアン達であった。イスラエルとアメリカの深い結びつきは、世界中によく理解されている。しかし、ドイツと友好を深めようとする意思は、日本人が見習いたいものだ。日本のロータリーと韓国や中国のロータリーとの関係の薄さを承知している私には、驚きであった。

 イスラエルで、もう一つ驚いたことがある。現在、中国の資本が次々とイスラエルに入っているという。それもイスラエルが招いているのだ。これは何を意味するのか?単に中国がイスラエルの技術を欲してるとか、イスラエルが貿易収支を良くしようとしているといった意味だけではないようである。
 以前に私のロータリーの友人達との会食の折、アロン博士は、中国について、アメリカと中国が揃ってこれからの世界を牽引していくとユダヤ人は考えているといった。それを考え合わせると、ユダヤの人々は、アメリカやカナダ、オーストラリア、イギリスやロシアにユダヤコミュニテイをもっているが、中国には存在しないので、今後、強い関係を作ろうとしているのではないかと考えられる。ユダヤの人々は、海外のユダヤコミュニテイと常に連絡を取り合っている。これが、ユダヤは世界戦略を持って裏から世界を動かそうとしていると噂される根源なのだが、見方を変えれば、彼らは常に世界の情勢を見極め、自身の安全保障と、世界の安定を保持しようと懸命に努力しているということができる。なお、最近、中国開封のユダヤ教コミュニテイが中国政府の手で破壊されたが、これは、隠れキリシタンのような存在で、イスラエルとはつながっていないようである。
 現在、イスラエルとイランは対立しているが、一方、中国はイランとサウジアラビアとは太いパイプでつながっている。サウジは、アメリカや日本とも友好関係を保っているが、実は、イスラム原理主義の強い国家で、その点では、イランと共通している。イスラムの派閥が異なるだけだ。その意味では、イスラエルが中国と繋がるのは、イスラムとの対立を中和させる良い政策なのだ。
 イスラエルは、戦争の準備は怠りないが、一方では、イスラムの人々に、イスラエルが開発実用化した海水の淡水化技術を提供し、融和を図ろうとしている。こういった多方面にわたる戦略を駆使して、中東の安定を実現しようと努力している。

 これに対して、日本はどうか。日米安保条約唯一つに安全保障を依存して、
東アジアの安定を模索するどころか、最近では、不安定要因を自ら作り出そうとしている。その外交的センスのなさは目を覆うばかりだ。
 中国の民主化と、イスラム原理主義の世俗化を着地点として、世界をコントロールしていこうとするイスラエルと比べ、日本は、志も、工夫も足りない。
 しかも、政治評論家は事柄の表面だけ撫でて、間違った説明を繰り返している。日本が世界の孤児となるのもそんなに遠い話ではないのかもしれない。
2019/07/28

 

世界-中国論-日本