宮司のブログ

こんにちは。日吉神社の宮司を務める三輪隆裕です。今回、ホームページのリニューアルに伴い、私のページを新設してもらうことになりました。若い頃から、各所に原稿を発表したり、講演を行ったりしていますので、コンテンツは沢山あります。その中から、面白そうなものを少しずつ発表していこうと思います。ご意見などございましたら、ご遠慮なくお寄せください。

米軍とトヨタが日本を去る日

2017年5月20日   投稿者:宮司

 先日、15年来の親友であるユダヤ人と名古屋で会食した。彼は、既に引退しているが、元は、イスラエル政府の役人であり、大学教授であった。当日は、私が所属するロータリークラブの有志との懇談も兼ねた。ロータリーの友人の一人が、こんな質問をした。それは、第二次世界大戦当時の日本の韓国の併合と中国の侵略について、両国は、いつも日本に謝れと言い続けている。一方、ユダヤの人々は、ドイツとの関係を前向きにとらえている。日本は、中国や韓国と今後どのような関係を持てば良いのか?という質問であった。

 答えは、予想外のものであった。彼は言う。中国は、今、劇的に変化している。このまま進めば、いずれ民主化して、米国と並んで、世界のリーダーとなっていくであろう。アジアの国々は、中国を中心としてまとまっていくに違いない。
 多くの日本人にとって、中国が米国と手を握って、世界を牽引していくというのは、信じがたい話であろう。しかし、イスラエルから世界を見れば、そのように概観できるのだ。
 中国政府の政策は、ほとんど社会科学院というところで立案されている。そのスタッフは米国帰りが多い。共産党政府は、既に、複数政党制の実験を試みている。中国は、GDP世界第2位であり、ドルの外貨準備高も世界第1位であり、中国製品なしでは米国の消費社会が成立しないことを思えば、そして、習近平とトランプが、対北朝鮮政策で一致している現状を見れば、決して根拠のない話ではない。
 これに対し、日本は、今、米国から与えられた民主主義と自由主義から決別し、いずれ全体主義にシフトする必然性を持つ権威主義の国、かつての大日本帝國に戻ろうとしている。これは何を意味するか?

 北朝鮮問題は、米中が手を組めば、5年以内に平和的に解決されるだろう。朝鮮半島は非核化され、統一朝鮮は、米中と一体となるだろう。中韓と溝を深める日本は、ますます独自性を増し、君民一体の國体を持つ世界唯一の独立自存の道義国家として、その存在感を示そうとするだろう。結果は、米国との決別、核武装、米中韓との対立となる。米軍は日本を去り、トヨタなどの多国籍企業は、いち早く危険を察知し、本社機能を米国へ移転させるだろう。主要な輸出産業を失った日本は、ますます軍需産業に内需を依存し、極端な財政刺激策は政府財政を危機に追い込み、政府は、緊急事態条項を発令し、新円の切り替えを行い、肥大した軍備を持つ軍隊は、最後に民主主義の国々との戦端を開くだろう。

 あってはならない筋書きだが、可能性はゼロではない。この場合、最も責任があるのは、現今の日本国民である。政治に無関心で、一部の狂信的な全体主義者が総理大臣を使嗾して、国を乗っ取ろうとしていることに対し、見て見ぬ振りをしている。内閣支持率が下がらないということは、それを示している。
 今の日本は、ワイマール共和國の末期よりは経済事情は良いはずなのに、自ら、民主主義と自由主義と資本主義を捨てて、また、基本的人権を捨てて、全体主義の国家を呼び戻そうとしている。本当に呆れてしまう。
 この流れを止めるには、真の自由民主党を作るより手はない。現在の自由民主党は、その設立時の綱領とは真反対の、自由と民主主義を潰すという行動をとっている。
 共謀罪が成立寸前である今、憲法改正による緊急事態条項の設定は、断固阻止せねばならない。そして、次期衆院選で、真の自由と民主主義を守る政党に政権を委ねなければならない。
 多くの国民は、いい加減、騙されていることに気がつかねばならない。國体や教育勅語の世界は、政治権力を握った少数の人々が、好き放題に国家を動かし、国民の反対を封じ込める専制国家を意味する。これまで右翼と称する人々が毛嫌いしてきた共産主義の国家と瓜二つの国家が実現するのだ。違うのは、共産主義の思想の代わりに、世界に類のない素晴らしい政治体制であると(彼らが)いう國体があるだけだ。国民にとっての実質は、まったく同じと考えてよい。このようなことは、実は、政治学の常識である。しかし、多くの国民は、嘘をつき続ける安倍内閣の陰に潜む人々に、騙され続けている。
 戦後、日教組の左翼教育を許し、そして、日教組が弱体化したのちは、歴史修正主義の右翼教育にシフトし、民主主義や基本的人権の教育を全く行ってこなかった日本の教育の結果が、このような状態を導いていると言って良い。
 日本人は、米国から与えられた民主主義の根本を、まるで理解していない。もう一歩進めば、歯止めが効かないところへ行ってしまう。真実に気がつかなければ、第二の亡国の日がやってくるであろう。
(2017/05/20)
 

 

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