宮司のブログ

こんにちは。日吉神社の宮司を務める三輪隆裕です。今回、ホームページのリニューアルに伴い、私のページを新設してもらうことになりました。若い頃から、各所に原稿を発表したり、講演を行ったりしていますので、コンテンツは沢山あります。その中から、面白そうなものを少しずつ発表していこうと思います。ご意見などございましたら、ご遠慮なくお寄せください。

健全なる保守

2017年5月14日   投稿者:宮司

 中国人の友人がいる。カナダ国籍であるので、中国系カナダ人である。北京とカナダに家があり、行き来している。
 彼は、中国共産党が大嫌いである。実は、私とは、メールのやり取りだけで、会ったことはない。しかし互いに信頼関係である。メールは英語で書く。彼とは、政治や経済の話題で盛り上がることがある。最近、彼は、政治的な右翼と左翼という話をした。

驚いたことに彼は、自分を右翼であるという。では、左翼とは何か? 彼によれば、全体主義を志向する人々が左翼であり、筆頭が共産党なのだ。右翼とは、民主主義や自由主義、資本主義を守ろうとするのが右翼なのだ。そうなると私は、極右ということになる。
 この図式を日本に当てはめてみると、現在の政治状況の矛盾がよくわかる。安倍政権は、民主主義と自由主義を否定して、国家主義と全体主義の大日本帝國の復活を目指しているので、左翼である。日本共産党は、安倍政権に対抗して、民主主義を守れ、と言っているので、右翼である。ネトウヨと言われる人々の書き込みは、民主主義や自由主義、そしてその根幹である個人主義を否定したものが多いので、本当はネトサヨというのが正しい。そして現在の日本国の姿を変えようとしているので、反日である。
 自由民主党は、実態は、安倍政権のもとでは、左翼であり、反米である。しかし、当初から反米を表明するとまずいので、見かけは親米のように振舞っている。
 自由民主党の政治家の中には、本当に自由と民主主義を守ろうとしている人々もいるのであろう。
 日本共産党の本質は、共産主義の綱領を維持する限り、全体主義であり、常に左翼となりうる。
 民進党は、何人かは、右翼であり、何人かは左翼であり、残りは国会議員でありたいだけの人々である。もちろん自由民主党にもそのような人々はたくさんいる。政治の本質が全く分かっていない人々である。
 公明党は、宗教政党であると思っていたが、現在では、その支持基盤を裏切っているように見える。政治的信条は無いに等しい。
 さて、神社本庁や日本会議は、この分類で言うと、まさしく極左である。

 つまり、現在の日本では、党名と政治方針において、決定的なねじれが起きていて、政治運動をしている人々自身も、その立ち位置がよくわかっていないということである。それが、事情をわかりにくくしている。

 今、必要であるのは、健全な保守の台頭である。自由と民主主義と資本主義を堅持し、欧米と足並みを揃え、人類の平和的な共存に向かって努力していこうとする政治勢力が現れてくることが必要である。

 米国の置き土産である民主主義を押し付けとして毛嫌いし、昔の全体主義の大日本帝國の復活を望む人々は、日本を危うくする人々である。
 第一次世界大戦では、日英同盟があり、日本は戦勝国の側に立った。第二次大戦は、その後わずか20年を経て生起したが、日本は日英同盟を捨てて独伊の全体主義の国々と連携し、敗戦国となった。冷戦は、全体主義のソ連が、民主主義の米国に敗退した。
 人類史は、民主主義、自由主義、資本主義、基本的人権、市場社会、こういったものが、現在の社会システムの最高の価値であると証明している。
 神社本庁、日本会議、安倍政権は、なぜ、この流れに逆らってまで、復古の国家主義や全体主義、そして欲望の制御として何れ主張すると考えられる統制経済を日本に実現しようとするのか? 
 それが欧米との根本的な対立を招き、第二の敗戦につながることが予想できないのか? 私には、全く理解できない。 考えられるのは、この人々には、恐ろしく知性がなく、国際常識がないということである。 もし、日本だけが国柄が異なるので、自分たちの主張するような非民主的な国となることが必要であり、他の民主国家群と共存することができると考えているならば、甘すぎる。そして、全くの自己矛盾である。なぜなら、自分たちは、共産主義やイスラム原理主義を誹謗して当然と考えているからである。
 主義主張の価値観の違いは、現実的妥協で調整できるものではない。このままいけば、日本は、再び、世界唯一の道義国家として、世界の共通価値に挑むこととなるであろう。若者たちの多くは、それに共鳴しているように見えるが、果たして、行き着く先が見えているのであろうか?

 これを止め得るのは、健全なる保守の台頭である。そのような政治家が結集することが、この政治の流れを止めるために必要である。ただしい保守よ、立て!                      (2017/05/14)
 

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