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神職資格の取得について

神職資格の取得について

 神職資格の取得方法については、ネットでいろいろ書かれている。

 その説明に間違いはないが、一つだけ、不思議に思うことは、神職資格の明階の取得方法でどこにも記載されていない方法がある点である。

 一般に、神職資格は、簡単なものから順に、直階、権正階、正階、明階、浄階と5段階に分かれている。このうち、最後の浄階は神職としての生涯の功績に対して贈られるものであるので、実質的に学習や研修で取得できるのは、明階までとなる。

 基本的に、東京の國學院大学、または伊勢の皇學館大学にて四年間の神職専門課程を履修し卒業したものに、明階が与えられる。この他に、一般大学を卒業後、この二つの大学において、一年間の専門課程を履修すれば、明階が与えられる。ともに、履修以外に、一般神社、別表神社、神宮において所定の期間の実習を納めることが追加の条件として課される。

 さて、通常、明階の取得方法としては以上の二つの方法のみが紹介されているが、この他に、もう一つ、ネットには書かれていない方法が存在する。

 それは、神社本庁が主催する神職資格検定試験の内の明階検定を受験し、合格することである。合格後、同様に三ヶ所の実習を収めれば、明階が授与される。

 受験するために特別の条件はない。私も二十代でこの試験を受け、明階を得たのであるが、当時は、小学校卒業でも受験が可能であった。科目数は20数科目で、学歴によって、一定の科目が免除される。私の場合は、4年制の一般の大学を卒業していたので、外国語(英語)や哲学が免除されたと記憶している。これを5年間のうちに全て合格すれば良い。現在では、その5年の制限も撤廃されたようである。
 
 この科目の中には、古事記や日本書紀、縁起式祝詞や祝詞作文、祭式作法の実技や記述、衣紋等の専門科目が存在するので、全くの素人が挑戦することは難しい。

 私の場合は、大学の教養課程を終えたのち、夏に國學院大学の1ヶ月の神職講習会を受講し、祭式実技等の基礎を学び、直階の資格を得て、先代宮司の父親について神職として手伝いをしていたので、問題なく、一回でパスした。

 このように、最低限の講習を受け、明階の検定試験をパスすれば、明階を授与される。実は、これが一番手っ取り早い神職資格の獲得方法となる。そして、明階の資格を持っていれば、全国どこの神社の宮司にもなることができる。もちろん別表神社も含めて。

 最近では、故郷の神社が廃れていくのを見て、日本の伝統文化の維持のために高学歴の一般の方が神職を志していただけることが多いようである。この紹介がその一助となれば幸いである。(2025/03/01)

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